全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 2025 第3大会(岡山) レースレポート 投稿公開日:2025年7月16日 投稿カテゴリー:Race Report 大会概要 日程 2025年6月20日(金)〜22日(日)※6月19日は特別スポーツ走行枠 サーキット 岡山国際サーキット ドライバー #2 岩澤優吾(2大会目)#3 三井優介(全戦出場中) 主な結果 三井が第8戦で今季最高位の4位。岩澤は全戦完走。 第2大会・オートポリスから約1か月のインターバルを経て迎えた第3大会。DELiGHTWORKS RACINGは2台体制で参戦し、三井優介が全戦でポイントを獲得、岩澤優吾が全戦完走と、それぞれの立場で着実な前進を見せた。 今大会より、これまでサポートを行ってきた松下信治に加え、野尻智紀が初めてアドバイザーとして現場に帯同。2名体制での支援が開始された。 セッション別ハイライト 特別スポーツ走行・専有走行(6月19〜20日) 当初予定されていた合同テストの中止により、6月19日(木)にスポーツ走行が設定され、急遽夕方には特別枠も追加された。両ドライバーにとってはフォーミュラ車両での岡山初走行となり、マシンの習熟とセットアップ構築に時間を割いた。 岩澤は新車での参戦となったが、タイムは伸び悩み、専有走行2本目でもベストは1分25秒台にとどまった。一方、三井はセットアップ改善が進み、午後の走行では1分23秒7をマーク。初日の課題であったリアの不安定さを修正し、好感触を得た。 公式予選(6月21日) 予選当日は曇天で蒸し暑いコンディション。 三井は第7戦で3位、第8戦で2位を獲得し、初のフロントロウ発進を決めた。クルマに対する信頼感を持ってアタックできたことが結果につながった。 岩澤は引き続き11番手が続き、満足のいく走行には至らなかった。予選後は悔しさを滲ませつつも、課題を整理して次のセッションに備えた。 第7戦 決勝(6月21日) 三井は好スタートで2番手に並びかけるが、序盤の混戦で数台にポジションを譲り6位フィニッシュ。勝負どころの対応には課題を残したものの、上位集団でのバトルを通じて多くを得る内容となった。 岩澤はスタートで1台を交わして10位。上位勢には及ばなかったが、25周を安定して走り切り、ブレーキングの不安を残しながらも内容あるレースとした。 第8戦 決勝(6月22日) 三井は2番手スタートからの表彰台を狙うも、スタートでのホイールスピンやブレーキングの違いから順位を落とし、4位でフィニッシュ。これが今季最高位となった。終始プレッシャーの中でミスなく走り切り、上位争いでの安定感が光った。 岩澤は11位。序盤に差をつけられたものの、終盤には周囲と同等のペースを記録する場面もあり、ペース構築の方向性に手応えを見出す内容となった。 第9戦 決勝(6月22日) 三井はスタートで5番手に浮上し、そのまま粘り強く周回。中盤に1台に先行を許したものの、順位をキープして6位チェッカー。走行中のリア振動が発生する中でも、冷静に対応してレースをまとめた。 岩澤は10位。レースペースには引き続き課題が残ったが、3レース連続完走を果たし、データと経験の蓄積を進めた。 ドライバーコメント #2 岩澤優吾 久しぶりにレーシングカーに乗り、感覚を取り戻していくレースウィークだった前戦に対して、今回の岡山は、トレーニングや準備にしっかり取り組んできたうえでのレースウイークでした。自分でも「良くなってきている」という感覚があっただけに、それを発揮できなかったことがとても悔しいです。大会を通じて、うまく流れに乗れなかった印象が残っています。 そんな中でも、チームの皆さんはこの岡山大会に向けて新車を用意してくださり、走行中に感じた違和感の解消や、速く走るためのアプローチにも一緒に取り組んでくださいました。心から感謝しています。 結果として厳しい週末となってしまいましたが、レースの世界に戻していただいたことに対しては、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。次のチャンスが来たときにしっかり掴めるよう、これからも準備を積み重ねていきたいと思います。 #3 三井優介 第7戦では6位、第8戦では4位という結果でしたが、今シーズンはまだ表彰台に届いていないこともあり、悔しさが残るレースでした。ただ、その中でも今までとは違う“良いところ”があったと感じています。 例えば、開幕戦の鈴鹿でも順位を上げることはできましたが、それはスタート直後の話でした。それに対して今回の第9戦では、レース中に自分の力でオーバーテイクを決めることができたという点が、これまでとは違う収穫でした。 第7戦・第8戦の内容を踏まえてセットアップを見直し、1周目からブレーキングでしっかり攻められるクルマに仕上げていった結果、第9戦ではその変更が良い方向に作用したと実感しています。これは大きなポジティブ材料です。 また、第3大会全体を通じては、これまで悩まされていたフロントの動きやオーバーステアの感触が大きく改善され、その点でも非常に有益なデータを取ることができました。 今回の経験はポジティブに捉えつつ、反省すべき点はしっかりと見直して、次こそは表彰台を狙いたいと思っています。 これまでトップ集団と自分との間にあった差も、少しずつ縮まってきたと感じています。ここから結果を出していくのは、ドライバーである自分の仕事です。これからは暑さとの戦いにもなってくると思いますが、その対策やトレーニングも含めて、引き続き全力で取り組んでいきたいと思います。 アドバイザーコメント 松下 信治 三井選手については、マシン側にいくつか難しい点もありましたが、それでもスタートポジションを踏まえると、もう一歩上を目指せた週末だったと思います。そのなかで新たに見えた課題もあり、ドライバーとしての成長につながる良いきっかけになったのではないでしょうか。 岩澤選手については、走行初期に少し扱いづらい部分があったことに加え、本人もまだ環境に十分に馴染みきれていないように感じました。我々としても十分にサポートしきれなかった部分があり、そこは今後の改善点です。ただ、そうした状況の中でも諦めず取り組む姿勢は見せてくれていて、ドライバーとしての引き出しをさらに広げていくことが、今後のテーマになると思います。 また今回は、野尻選手がアドバイザーとして現場に加わってくれました。彼が現在トップレベルで取り組んでいるアプローチを、現場のエンジニアたちと共に共有してくれたことで、私自身も多くの学びがありました。 三井選手も岩澤選手も、まだまだ伸びしろのあるドライバーです。マシンの状態が整ってくれば、パフォーマンスも一気に引き上がると感じていますし、その兆しもすでに見えています。これからも、彼らの成長をしっかりサポートしていきたいと思います。 野尻 智紀 全日本格式のレースでアドバイザーとして帯同させていただくのは、今回が初めてでした。僕の役割は、ドライバーやチームが進むべき方向を見失わないよう、道しるべとなるような手助けをすることだと考えて帯同しました。 結果が思うように出ないと、チーム全体が「何をすべきか」を見失ってしまうこともあります。今週はその点において、自分なりにある程度の役割は果たせたのではないかと思っています。 一方で、このスーパーフォーミュラ・ライツというカテゴリーでアドバイザーを務めるうえでは、ドライバーに“あえて失敗を経験させる”ことも大事だと感じており、そのバランスの難しさを改めて実感しました。今大会に関しては、少し手を差し伸べすぎてしまったかな?と感じる場面も正直ありました。 ただ、チームの皆さんと協力しながらレースウィークをしっかり戦い切れたことは、大きな収穫だったと思います。次のレースでは、より強いチームになれると確信しています。 2人のドライバーにとっては、それぞれ課題を抱えながらの週末だったと思います。 それでも、苦しい状況の中で一つひとつの課題に正面から向き合い、最後までやり切った週末だったのではないでしょうか。成果がすぐに結果として現れるとは限りませんが、自分の課題に真正面から向き合えるかどうかは、このカテゴリーに挑む若いドライバーたちにとって最も大切なことだと思っています。 そういった意味で、最低限ではありますが、非常に難しいことをやり抜いたという点は、しっかりと評価されるべきだと思います。もちろん、もう少し結果という形で報われたら嬉しかったですが、それは私を含めたチーム全体の課題です。僕自身も、まだまだできることがたくさんあると、改めて感じさせられたレースウィークでした。 チーム代表コメント 下山 征人 まずはじめに、日頃よりチームを応援してくださっている皆様、そして現場で支えてくださっている関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。 今大会はスーパーフォーミュラとの併催ではなかったため、野尻選手がチームに合流することができました。松下選手とともに、2人から得られるフィードバックは非常に大きく、チームに新たな視点と刺激をもたらしてくれています。ドライバーたちがより深く自分自身と向き合い、取り組むテーマを広げられたことは大きな収穫です。 三井選手に関しては、今回しっかりと“レースをした”という感覚を掴めたことに加え、自身に足りない部分がより明確になったと思います。ここからの成長に期待しています。 岩澤選手は、まだマシンへの理解が十分とは言えない中でも、3レースすべてを走り切ってくれたことはポジティブに捉えています。 また、メカニックやエンジニアも、外部からの刺激を受けることで、チーム全体の意識とレベルが着実に上がってきているのを感じています。もちろん課題は多くありますが、少しずつ表彰台が現実的な目標になってきました。 次戦のSUGOは私たちにとって初走行となりますが、野尻・松下という2人のアドバイザーに加えて、エンジニアリング面でも新たな補強を加え、体制を強化して臨む予定です。今回の学びを活かしながら、より良い方向へチームを導いていきたいと思います。 ギャラリー