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全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 2025 第2大会 レースレポート

  • 投稿カテゴリー:Race Report

概要

日程 5月15日(木)〜18日(日)
サーキット オートポリス
ドライバー #2 岩澤優吾
#3 三井優介
監督 下山征人

リザルト

5月15日(木)専有走行
天候:晴れ/路面:ドライ

<#2 岩澤優吾>
1回目:13番手(1'41.656)
2回目:15番手(1'41.670)

<#3 三井優介>
1回目:9番手(1'39.894)
2回目:10番手(1'39.559)

5月16日(金)専有走行
天候:曇り/路面:ドライ

<#2 岩澤優吾>
3回目:10番手(1'39.607)
4回目:10番手(1'40.309)
5回目:11番手(1'39.612)

<#3 三井優介>
3回目:8番手(1'38.750)
4回目:6番手(1'39.446)
5回目:7番手(1'39.152)

5月18日(日)第4戦決勝レース
天候:曇り/路面:ドライ

<#2 岩澤優吾>
10位

<#3 三井優介>
7位

5月18日(日)第5戦決勝レース
天候:曇り/路面:ドライ

<#2 岩澤優吾>
14位

<#3 三井優介>
6位

レースレポート

課題と収穫が交錯したオートポリス
初参戦の岩澤が奮闘、三井は粘りの1ポイント

荒天により予選が中止されるなど、変則的なスケジュールで行われたスーパーフォーミュラ・ライツ第2大会オートポリス。DELiGHTWORKS RACINGは、2号車に、カテゴリー初参戦となる岩澤優吾を起用。前戦に続いての出場となる三井優介との2台体制で挑んだ。

結果は10位・14位(岩澤)、7位・6位(三井)と表彰台には届かなかったものの、岩澤は実戦から遠ざかっていた中で2レースを走り切り、三井は苦しみながらも粘り強い走りで貴重な1ポイントを獲得。2台を無事に完走させ、一定の収穫を得た一方で、マシンセットアップの構築精度など、チーム全体として取り組むべき課題も多く見つかった週末となった。

DELiGHTWORKS RACING SFL 2025 オートポリス

2025年から全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦することになったDELiGHTWORKS RACINGは、3月に三重県の鈴鹿サーキットで行われた第1大会から約2ヶ月のインターバルを経て、5月15日(木)〜18日(日)に行われた第2大会に臨んだ。舞台は大分県のオートポリス。標高約800mに位置するアップダウンに富んだテクニカル コースだ。

この大会も5月16日(木)の2回の専有走行から幕を開けた。この日のオートポリスは初夏の陽気で、午前10時15分から始まった専有走行1回目は晴天。二度の赤旗中断があったが、岩澤は41周を走り1分41秒656というベストタイムを記録。三井は37周を走り、1分39秒894を記録した。午後3時から行われた2回目はやや雲が増えたものの、この時季らしい爽やかな天候。岩澤は31周を走り1分41秒670を記録。三井は33周を走り、1分39秒559にタイムを伸ばした。

三井は 専有走行1回目は9番手、2回目は10番手という順位で走行を終え、「僕自身が乗れていない」とやや苦い表情を浮かべた。

また岩澤については、スーパーフォーミュラ・ライツは2年前に一度別チームでテスト走行を経験しているものの、 本カテゴリーのレース本戦は初参戦でかつ、およそ半年ぶりの実戦。 「事前にトレーニングはしてきたのですが、実際に乗ると厳しいですね。驚いています」と体力面での課題が露見された。

DELiGHTWORKS RACING SFL 2025 オートポリス

明けた5月16日(金)も2回の専有走行が予定されていたが、5月17日(土)の天候が荒天の可能性があったこともあり、タイムスケジュールを変更。午後の専有走行4回目は90分間の走行を60分間と30分間の2回に分け、専有走行5回目が設定された。

午前9時45分からの専有走行4回目は、開始直前に雨が降り出したものの、すぐに止みドライコンディションのもと走行が進められた。専有走行を一日走った岩澤は、スーパーフォーミュラ・ライツにも少しずつ慣れ、「キツいです(苦笑)」というもののタイムも向上。29周を走り、1分39秒607にタイムを上げる。また三井も24周を走り、1分38秒750を記録。8番手につけた。

どんよりとした天候が続くなか、午後1時40分から行われた4回目は、岩澤は18周を走り1分40秒309を、三井は20周を走り1分39秒446を記録。岩澤は10番手、そして三井は6番手と悪くない位置につけた。ただ、今回専有走行5回目が行われることになり、DELiGHTWORKS RACING含め多くのチームがニュータイヤを5回目に温存していたことから、実際のタイム差は分かりづらい状況だった。

午後3時20分から行われた5回目は、30分のみのセッションだったが、ここでは各車とも予選さながらのアタックを行っていった。ここで2台はニュータイヤを履き、岩澤は5周を終え1分39秒771を記録し9番手、三井は4周を終え1分39秒244を記録し7番手につけると、チェッカーに向け再度ニュータイヤを履きコースイン。岩澤は1分39秒612に、三井は1分39秒152までタイムアップし専有走行5回目を終えた。

岩澤は結果的に11番手。2セット目のニュータイヤでの上げどころを見出せず、スポット参戦ならではの不慣れさが出てしまった。また三井は順位こそ悪くないが、上位6台とのタイム差を気にしながら2日間の専有走行を締めくくることになった。

DELiGHTWORKS RACING SFL 2025 オートポリス

2日間の専有走行を経て、迎えた5月17日(土)の予選日/第4戦の決勝日だが、事前の天気予報よりもこの日のオートポリスの天候は悪く、朝から吹き付けるような風と雨に見舞われ、さらに深い霧にも包まれていた。

大会組織委員会は、午前8時20分の時点で第4戦/第5戦の公式予選のキャンセルを決定した。そのため、5月16日(金)の専有走行5回目のベストタイム、セカンドベストが第4戦、第5戦のグリッドに決まり、第4戦は岩澤が11番手、三井は7番手からスタートを切ることになった。ただその後もオートポリスは悪天候と視界不良が続き、第4戦は結果的に5月18日(日)に延期。第5戦が昼のレースとなり、第6戦はさらに延期されることが決まった。

明けた5月18日(日)は早朝、霧がわずかに残ってはいる状況だがオートポリスの視界はレース開催に問題はない状況だった。またうっすらと路面が濡れていたが、ほぼドライコンディションとなっており、午前8時30分、全車がスリックタイヤを装着し第4戦の決勝レースがスタートした。この第4戦は長い21周のレースだ。

三井7番手、岩澤11番手からスタート。オープニングラップでは1号車を挟みながら三井が8番手、岩澤が10番手でコントロールラインを通過。2周目には三井は前を行く38号車に仕掛けるもこれは抜けず。また岩澤も一度は1号車をかわすも、ふたたび先行を許すなど激しい戦いを展開した。

3周目になるとポジションは落ち着き始めたが、三井は5番手の37号車を先頭とした4台の集団に加わり、38号車のテールにピタリとつける。また岩澤も1号車を先頭に、岩澤、60号車の3台の争いを展開した。ただ、このオートポリスは中高速コーナーが多く、ダウンフォースが重要なスーパーフォーミュラ・ライツではオーバーテイクは非常に難しい。膠着した争いが展開されていった。

5番手争いは結果的に21周のレースで最後まで順位の変動はなく、三井は8位でチェッカーを受けたが、3番手争いのなかで50号車に5秒のタイムペナルティが課されたことから、三井の順位はひとつ繰り上がり7位に。惜しくもポイントには届かなかったものの、5番手争いから離されずにレースを戦えたことは、三井にとっても大きな自信となった。

そして岩澤は21周の長丁場で体力面の不安があったものの、しっかりとレースを走り切り10位でレースを終えた。僅差でライバルたちと戦えたこと、そして長いレースを戦ううちに、岩澤の中にさらなる改善への意欲と気づきが生まれることになった。

DELiGHTWORKS RACING SFL 2025 オートポリス

約3時間のインターバルで迎えた午後0時15分からの第5戦の決勝レースは、相変わらず曇り空であることは変わらないものの、インターバルの間に行われたスーパーフォーミュラの公式予選等もあり路面は完全にドライコンディションに転じていた。

このレースは5月16日(金)の専有走行5回目のセカンドベストでグリッドが決まっており、三井は7番手、岩澤は10番手からスタートを切ったが、岩澤はまさかのストールを喫してしまう。わずかに湿っていた第4戦とは路面のグリップ感が異なっており、第4戦とは適正なクラッチのリリースの加減が違ったのだが、岩澤にとってはスタートの経験が少ないことが災いしてしまった。なんとか再スタートしたものの、後方からの追い上げを強いられた。

一方、7番手からスタートした三井はそのままポジションを守りオープニングラップを終え、50号車を先頭とする5番手争いについていく。ただ、ペースはありながらも思うように前を抜くことができないのは第4戦と同様。レース後半に至るまで僅差の争いが続けられていった。

ただそんななか、5番手の50号車にはスタート手順違反により5秒のタイムペナルティが課された。三井は7位でチェッカーを受けたが、今回もひとつ順位が繰り上がり6位に。苦しんだ週末ではあったが、1ポイントをもぎ取りオートポリス大会を終えることになった。

最後尾から単独での追い上げを強いられることになった岩澤だが、第4戦の後にリクエストして取り組んだセットアップ変更が功を奏し、上位陣と比較しても遜色ないラップタイムを刻むことができた。レースを終えた順位は11位ではあるものの、岩澤にとっては大きな収穫を得ることになった。

DELiGHTWORKS RACING 岩澤優吾

■#2 岩澤優吾

今回から参戦させていただきましたが、体力面や感覚など、一日ごとに良くなっていったと思います。土曜は天候不順で走ることができず、第4戦が初めての決勝レースとなりましたが、体力の不安はありつつも、走ってしまえば問題はなく、クルマの状況やバトルに集中することができました。第4戦を終えてから、フィーリングなど変更したい部分が出てきたのでセットアップを変更し、第5戦に臨みましたが、残念ながらスタートでストールしてしまいました。第4戦、第5戦とも同じ感覚でスタートしたのですが、第4戦ではわずかに濡れていた路面が、第5戦のスタートでは完全に乾いており、同じ感覚でのスタートではパワーがかかりすぎてしまいました。悔しいです。

とはいえ、その後のレースではすごくマシンのバランスが良くなっていましたし、チームの皆さんと話し合って変更したセットアップがすごく良い方向に向かっていました。ひさびさのフォーミュラのレースでしたが、自分の感覚を活かし、チームの皆さんとしっかりコミュニケーションをとって良い変更ができたのではないかと思います。今回、スーパーフォーミュラ・ライツに参戦させていただきすごく良い経験になりましたし、一日ごとに進歩を実感できていたので、今後この経験を繋げていけるようにしたいです。

DELiGHTWORKS RACING 三井優介

■#3 三井優介

今回は走り出しからなかなかトップのタイムが見えておらず、自分の前の順位もあまり見えず厳しい週末になるかと思いましたが、松下信治アドバイザーや、チームのエンジニアとも話をさせていただき、第4戦では良い方向性を試すことができました。前のペースについていくどころか、自分の方がペースが速いところもあったので、この週末初めて上位が見えたと思っています。トップこそ速かったですが、もし単独で走れば自分も同じようなペースがあったとも思うので、それは今シーズンいちばん希望が見えたところでした。

第5戦に向けては、さらにセットアップを変更していったのですが、残念ながらそれはあまり良い方向にはなりませんでした。同じことをやるよりも、違うことを試して、今後に向けた引き出しにすることが狙いでした。結果的に新しい方向性を見つけることもできましたし、ポイントも獲ることができたので、良いレースにできたのではないかと思います。自分としても前進することができました。次戦は岡山国際サーキットでのレースですが、その前に公式テストもあります。僕自身としてもチームとしてもパワーアップしてきていますので、有意義なテストにして、本番に臨めたらと思っています。

DELiGHTWORKS RACING Nobuharu Matsushita

■レーシングアドバイザー 松下信治

まだまだ我々は、求めているところで走ることができていません。チーム全体として、目指すところに向けて底上げをしなければいけないと思っています。一方で、今回の難しいコンディションのレースの中、両ドライバーともにクラッシュせず、決勝をフルに走り切ることができたのは大きな収穫だと思っています。岩澤選手も三井選手もしっかりと走ってくれました 。とはいえ、表彰台まではまだ距離がある状態です。引き続きエンジニア、ドライバー、チーム全体で反省を活かし、次回に向けて再び準備していきます。

DELiGHTWORKS RACING Masato Shimoyama

■チームプリンシパル 下山征人

まず初めに、日頃よりご支援・ご声援をいただいている皆様、そして現場での走行を支えてくださっている関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。

予定されていた第6戦は濃霧の影響により中止となりましたが、第4戦・第5戦を無事に終えることができました。今大会では、スーパーフォーミュラ・ライツ初参戦となる岩澤選手のドライバー起用に加え、三井選手にとってはこのカテゴリーにおけるオートポリスでの初レースとなり、非常にチャレンジングなレースウイークとなりました。

木曜日からの練習走行では、雨・風・霧・快晴と刻々と変わる天候に対応しながら、セットアップを進めていきました。しかし、各パートにおいて細かなミスが重なり、最終的にレース全体をうまくまとめきれなかった点は反省すべき課題として残る結果となりました。

ドライバーに関しては、三井選手が限られた状況の中で全力を尽くしてくれましたが、アドバイザーやエンジニアとのコミュニケーション面では、まだ改善の余地があると感じています。セットアップを進めるうえでの情報共有や意図の伝達が不十分であったことが、予選・決勝で思うような結果を残せなかった要因の一つでした。今後はフィジカルやドライビングスキルに加え、“伝える力”も磨いていく必要があります。

岩澤選手にとっては、キャリア最高峰のカテゴリーへの挑戦となりましたが、時間の経過とともに手応えのある走りを見せてくれました。第5戦ではスタートでストールを経験したものの、その後のリカバリーには光るものがあり、今後への期待を抱かせる内容でした。“若手育成”を掲げる我々のチームにとっても、有意義なレースウイークとなりました。

また、ライバルチームの高いアベレージスピードからは、ドライバー個々の技量だけでなく、セットアップを含めたチーム全体の総合力における差を痛感させられる展開となりました。

今回のレースウイークは、ドライバーをはじめ、エンジニア、メカニックなどチーム全体がそれぞれの課題と改めて向き合う、非常に貴重な機会となりました。次戦の岡山大会に向けては、公式テストを通じてマシンのセットアップや方向性を明確にし、チーム全体としての戦力向上につなげていきたいと考えています。

今回の悔しさを糧に、次戦ではより強く、より結束力のあるDELiGHTWORKS RACINGの姿をお見せできるよう、チーム一丸となって準備を進めてまいります。今後とも変わらぬご声援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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