概要
日程 | 2025年3月6日(木)〜9日(金) |
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サーキット | 鈴鹿サーキット |
ドライバー | #2 荒尾創大 #3 三井優介 |
監督 | 下山征人 |
リザルト
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
1回目:3番手(1‘51.506)
2回目:6番手(1'51.690)
<#3 三井優介>
1回目:4番手(1‘51.548)
2回目:7番手(1'51.967)
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
3回目:7番手(1‘51.744)
4回目:3番手(1'51.226)
<#3 三井優介>
3回目:11番手(1‘52.266))
4回目:11番手(1'52.194)
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
第1戦:4番手(1‘52.018)
第2戦:3番手(1'50.731)
<#3 三井優介>
第1戦:7番手(1‘52.927)
第2戦:10番手(1'52.477)
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
8位
<#3 三井優介>
5位
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
11位
<#3 三井優介>
7位
天候:曇り/路面:ドライ
<#2 荒尾創大>
7位
<#3 三井優介>
6位
レースレポート
チーム初陣となる鈴鹿 開幕戦で奮闘
予選では荒尾がポール目前の快走、決勝では三井が5位・6位入賞でポイント獲得
2025年から全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦することになったDELiGHTWORKS RACINGにとって、いよいよ初陣となるレースウイークがやってきた。これまで、全国各地のサーキットで参戦に向けた準備を進めてきたチームだが、スーパーフォーミュラ・ライツ公式のレースウイークは初めてだ。迎えた第1大会の舞台は、三重県の鈴鹿サーキット。世界屈指のドライバーズサーキットでもある。今季、シリーズは開幕前の合同テストが行われなかったことから、予選を前に3月6日(木)から2日間4回の専有走行が行われた。
チームは今季、ライツ2年目となる荒尾創大と、初参戦となる三井優介のふたりを擁し参戦する。第1大会にはDELiGHTWORKS RACINGのアドバイザーとして松下信治が帯同。ふたりに助言を行いながら、曇り空のもとスタートした3月6日(木)からの走行をこなしていった。走り出しの1回目は、荒尾が1分51秒506を記録し3番手。三井が1分51秒548で4番手につけた。ただ、荒尾がフロアにダメージを負ってしまうなど、決して調子が良いわけではない。
さらに午後2時30分から行われた専有走行2回目では、三井に思わぬアクシデントが襲いかかった。Astemoシケインで他車を先行させようとした際に接触。車両にダメージを負ってしまった。
「不用意なクラッシュでした」と三井にとっては走行時間も減り、リズムも崩してしまった。荒尾はこのセッションでは、昨年にもトライしたあまり良くない傾向のセットを確認したこともあり1分51秒690で6番手。三井は調子を崩し1分51秒967で7番手で終えた。
明けた3月7日(金)の鈴鹿は晴天に恵まれ、2回のセッションが行われた。荒尾は少しずつ調子を戻していたが、3回目、さらに午後の4回目も赤旗中断が多数発生。タイムを出し切れていないドライバーも多く、順位はやや分かりづらいところもあったが、「最後には調子を上げることができたので、公式予選に向けてはポジティブに終えることができました」と荒尾が1分51秒226を記録し、3番手までポジションを戻した。
一方三井は、「1回目までは良かったですが、2回目のクラッシュから自分でも立て直せず、タイムも上げられませんでした。荒尾選手ともタイムが離れてしまったので、原因を追及しないといけませんね。課題がまだまだあります」とこの日は両セッションとも11番手。公式予選に向けた練習は多数行っていたが、セットアップ改善が急務となった。

いよいよ迎えた3月8日(土)は、午前8時30分から10分間ずつ第1戦/第2戦の公式予選が行われた。スーパーフォーミュラ・ライツはオーバーテイクがしづらく、予選順位とスタートが大きく勝敗を分けることになる。
荒尾は「専有走行で一発は出るようになっていました」とまずは1分52秒018というベストタイムを記録。第1戦では4番手につけると、インターバルの間に車両を調整。第2戦の予選ではチェッカーに向けてアタックを展開していった。
ここで荒尾は、1分50秒615というタイムを記録し、タイミングモニターの最上位に躍り出た。チーム初のポールポジション獲得か……と沸き立ったが、荒尾のベストタイムは走路外走行があったとして抹消されてしまった。ただ、それでも3番手。表彰台を狙える位置につけた。
三井は「第1戦の予選は自分としても乗れていなかったですし、クルマもうまく合わせられない部分がありました。第2戦の方が自分の感覚は良かったのですが、まわりがさらにタイムも伸ばしていたので、結果的に沈んでしまいました」と、第1戦は7番手だったが、第2戦ではさらに順位を落としてしまうなど、初めてのスーパーフォーミュラ・ライツの予選に苦戦を強いられた。
公式予選終了からわずかなインターバルで迎えた第1戦の決勝レース。曇り空のもとスタートが切られたが、4番手の荒尾はまさかのエンジンストールを喫してしまい、11番手までポジションを落としてしまった。
逆に抜群のスタートを決めたのが、もともとスタートを得意としていた三井。一気に7番手から4番手まで浮上してみせた。「念入りにスタート練習をしていたのですが、そのイメージがハマりました」と表彰台をうかがう位置につける。
ただ、2〜3周ほどはトップ3を追撃していたものの、タイヤが苦しくなり、後方から#51 ザック・デビッドが迫ってきた。「鈴鹿の走らせ方やエアロの使い方は分かっていましたが、それでも太刀打ちできませんでした」と12周目にデビッドのオーバーテイクを許し、5位でチェッカー。それでも初レースでの入賞を果たしてみせた。
一方、荒尾はスタートで遅れたものの、ロングランのデータを集めるべくレースを進めていった。「かなりキツい状況でした」と決勝ペースについては課題を抱えることになったが、最後まで追い上げをみせ8位でフィニッシュした。

一夜明けた3月9日(日)は、午前8時20分から第2戦の決勝レースが行われた。この日の鈴鹿は晴天で、朝日に照らされながらスタートを迎えた。この日は3番手からしっかりとスタートを切った荒尾は、3番手をキープしオープニングラップを終えた。
2周目、2番手を走る#38 小林利徠斗がトラブルでスローダウンを喫したことで、荒尾は2番手に浮上。レースはセーフティカーランとなったが、5周目のリスタート時、荒尾はトップを走る#35 佐野雄城の背後にピタリとつけ、リスタートでのオーバーテイクを狙った。
ただ「ブレーキでペースを合わせていたのですが、熱が入りすぎてしまった」とブレーキロック。佐野選手を避けるべくAstemoシケインの進入で姿勢を乱し、アウトにコースアウトを喫してしまった。ポジションを落とし、さらにセーフティカー中のコースアウトでペナルティをとられてしまう。結果は11位と、荒尾にとっては悔しい結果となった。
三井は10番手からスタートを切ったが、わずかにホイールスピン。さらに、前の車両がストールを喫していたことで大きなポジションアップはならなかった。レースペースも
改善はみられていたものの、スーパーフォーミュラ・ライツならではのダウンフォースの抜けなどにも苦戦。7位でフィニッシュすることになった。
第2戦からわずか4時間弱のインターバルで迎えた第3戦は、晴天で気温も上昇するなかで迎えた。このレースは第1戦の結果でグリッドが決まっており、三井は5番手、荒尾は8番手からスタートすることになった。
三井はここでもスタートを決めると、1周目に4番手に浮上してみせた。ただ、2〜3周目が過ぎるとやはりここでもトップ3とは少しずつ間隔が広がってしまい、逆に三井の後方には、荒尾を含む7台の集団が形成された。
この順位を守るべく、三井は第2戦で得られた教訓を活かしながら、抜かれまいとラインをコントロール。防戦一方となってしまうも奮闘をみせた。ただ5周目、6周目と相次いでポジションを落としてしまい6番手となってしまう。
レース終盤、三井の背後につけたのは荒尾。チームメイト同士の戦いとなったが、チェッカーまで順位が変わることはなく、三井が6位で1ポイントを獲得。荒尾は7位でフィニッシュした。


■#2 荒尾創大
専有走行から苦戦することになりましたが、一発のスピードについては、誤魔化しながら速さをみつけて予選に臨んだ状態でした。実際のクルマのメカニカルグリップや自分自身の速さなどは、まだまだライバルたちに負けていると思っています。公式予選ではポールに繋がらなかったとはいえ第2戦でトップタイムを獲ることはできたものの、スリップストリームなどで稼げていただけでした。
僕たちのチームはまだ単独のペースとしては負けているところが多いので、チーム全体として改善しなければと思っています。その中で三井選手はポイントも獲れていますが、僕は前にいたのに台無しにしてしまったので残念に思っています。今後、余裕をもってレースを戦えるようパフォーマンスを上げていきたいと思っています。

■#3 三井優介
最初は木曜から金曜まで7時間走行があったので少し驚いていたのですが、終わってみればあっという間でしたね。すべてにおいて衝撃を受けるスーパーフォーミュラ・ライツでの初めてのレースウイークでした。10分間の公式予選も驚きでしたし、身体の使い方やレースウイークの組み立て方、またレースのときのダウンフォースの使い方、セットアップ等々、すべてにおいて発見と驚きで、あっという間にレースウイークが終わったような感覚でした。
その中で、第1戦で2ポイント、第3戦で1ポイントと最低限のポイントを獲得することができました。このポイントをシーズン後半戦でしっかり活かせるようにしていきたいですし、次戦もまた頑張っていきたいと思っています。

■レーシングアドバイザー 松下信治
専有走行かららクラッシュがありましたし、三井選手についてはそのクラッシュから、何かしらクルマに変調があったのかもしれません。週末の初日で大きなミスになってしまったと思います。ただ、三井選手についてはペースがない状況ながら、2回ポイントを獲っているので、落ち着いたレースをみせてくれた点は評価できると思います。
単純にペースがないので、セットアップ含め見直さなければいけませんね。荒尾選手については、速さをみせてくれましたが、こちらも初日にフロアを痛めたりしていて、スムーズに決められたメニューをこなすことができていませんでした。荒尾選手も同様にペースがライバルに対して苦しいので、こちらも改善は必要ですね。ドライバーふたりには苦しいドライビングを強いてしまった開幕大会だったと思います。

■チームプリンシパル 下山征人
まずは、準備期間わずか3ヶ月という限られた時間の中で、この場に立てたことに対し、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今回のレースに向け、2名のドライバーは約1500kmを走り込んだ上で鈴鹿入りし、事前の鈴鹿テストも順調に終えることができました。その時点では、手応えを十分に感じていました。しかし、レースウィークに入ってからは、両選手ともリズムを崩してしまいました。
三井は他車との接触、荒尾はスローダウンした車両を避ける際にコースオフし、どちらもマシンにダメージを負う結果となりました。練習では一度も犯さなかったミスが続いたことを考えると、要因はメンタル面にあると考えています。ここはしっかりと鍛え直さなければなりません。その中でも、RD2の予選で見せた荒尾の一発の速さは光るものがありました。また、三井もペースが厳しい中でクリーンなレースを心がけ、ポジションを守り抜いた点は評価すべきポイントです。
マシン全体のレースペースが想定よりも上がらなかった点については、データを改めて分析し、原因を突き詰めていきます。次戦のオートポリスに向け、しっかりと準備を整え、改善を図ります。課題は多いですが、それだけ成長の余地があるということでもあります。チーム全体で全力を尽くし、一日でも早く勝利を掴めるよう、引き続き努力していきます。